当企画は『NARUTO』日向ヒナタ溺愛非公式ファン企画です。原作者及び関連企業団体とは一切関係ございません。趣意をご理解いただける方のみ閲覧ください。

蛇と鳥

TAG: その他 (17) 異形 (1) /ネジ (54) /空也 (9) /イラスト (51) /小説 (39) |DATE: 12/24/2012 18:50:23

☆真に強いヒナタ様を夢見てみました(*´∀`*)
[ 本文 ]





蛇と鳥



はるか昔の話し。


異形の一族があった。
彼らは他の異形とは違う特殊な特徴があった。
幼い頃は、かよわき人の姿。
けれど、16歳を迎えると
己の真にふさわしい異形へと変化する。


一族の王の娘、ヒナタもその日を迎えた。
偉大な王は、天翔ける大きな翼を持つ大鷲の異形であった。
歴代の王族は全て鳥の異形となる。
長女のヒナタも…落ちこぼれではあるが
それにならうと思われた。


だが、侍女の悲鳴に王は娘の部屋に駆け込んだ。
そこには、地べたを這いずり回る、忌まわしい
蛇の異形の姿があった。
「なんということだ…我が姫が地這いなどに…」
王は怒り、ヒナタを殺そうとした。だがそこに
亡き弟の遺児である大鷹の異形であるネジが
飛び出し、ヒナタを庇った。
「王よ、姫を殺さないで下さい。」
王は訝しんだ。ネジは落ちこぼれのヒナタを蔑み
憎んでいたはずだ。天才である自分より劣るヒナタが
王位に就くことを誰よりも悔しんでいたはず。
なのに何故かばう?まさかこれを利用して王家を
乗っ取る気ではないか。王は、ならばと命じた。
「お前が、死ぬなら、ヒナタを許そう。」


**************************


心の臟を貫かれて、即死したはずだった。
ネジは赤々と萌える松明に、導かれて
暗い洞窟の中を歩いていた。
所々に刻まれた文様は、死者の国へ誘う物語を
あらわしていた。それで、自分は死者の国へ
歩いているのだとネジは気づいた。
やがて、大きな空洞に着き、そこには一つ目の
巨人がネジを待っていた。
「可哀想になあ…こんなに綺麗な異形なのに。」
言葉は哀れんでも、目は楽しんでいる。
死の国への門番か。残虐な臭いがする。
「地獄か天国か選ばせてやる。その綺麗な羽根を
くれたらなあ?」
巨人は、毛むくじゃらの大きな手をネジへと伸ばす。
死者の悲しさか、導かれた場所にたどり着いた今
逃げられないように、足が地に張り付いて動かない。
そうか、こうやって、こいつは死者をいたぶり
楽しむのか。死の苦しみが二度もあるなど…
そしてこっちの方が、たちが悪い。
ぐりりと翼をひねるように掴まれ思わず苦痛に呻く。
にたりと笑う巨人の黄色い歯の間から緑の涎が垂れる。
思わず目を逸したネジの腹に巨人の蹴りが入った。
同時に掴まれた翼が反動で強く引っ張られる。
「ーーーーーーーーーっ」
激痛に呻いた瞬間、目の前を真っ白な光がはじけた。
巨人の手が離れ、痛みから解放されたネジのからだに
柔らかくて白いものが巻き付く。無数の蛇を身にまとい
その身は白い蛇の異形となったヒナタであった。
「ヒナタ様?!どうしてここに?まさか殺されたのか?!」
約束を違えたのかと王への怒りで目の前が真っ赤に染まる。
だが、ヒナタはネジを巨人から守りながら告げた。
「いいえ…いいえ…私は死んでいません。」
「では、なぜ?」
「私は…蛇です。蛇は空は飛べないけれど、再生の能力を
もちます……だから…」
ネジ兄さんを…取り戻しに来たのです、と優しく微笑む。
その天女のような美しい微笑みにネジは魂を奪われ微かに喘ぐ。
そして意識を失うネジを、しっかりと抱き守りながら
しかしヒナタは、聖母の笑みから、蛇の異形の怒りの面に変貌し
巨人を威嚇した。死者を甚振る残虐な巨人にヒナタは怒り
凄まじい眼光で、巨人を一瞬で石のでくのぼうにしてしまう。
そうしてヒナタはネジを死者の国への門前で取り戻すと
彼を蘇生したのだった。


復活した若き鷹の異形と、蛇の姫がその後どうなったかは
誰も知らない。

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